フケは皮膚から出るアカと同じように、新陳代謝の副産物として角質細胞が剥がれ落ちたものです。
角質細胞は麦皮のいちばん外側の層にある、いわば死んだ細胞です。
フケは頭皮の表面にくっついているか、あるいは剥がれてパラパラと落ちるものですがフケになる角質も、初めは表皮の深いところにあります。
フケの出るメカニズムですが、まず表皮のいちばん深いところにある基底細胞が細胞分裂を繰り返して新しい細胞をつぎつぎと作り出します。
そして新しくできた細胞は順次押し上げられていき、皮膚の麦面に近づくにつれて丸い形から扁平な形になり、角化しはじめます。
いよいよ表皮に達すると角質細胞になり、完全に角化して角層を作ります。この角層を形成している角質細胞も徐々に皮膚の表面に押し出されていきますが、
上にいくほど細胞同士の結合が緩んで、最後には剥がれ落ちます。
毛髪に毛周期があるように、フケのもとである表皮にもサイクルがあります。
表皮が基底層で新しい細胞として生まれてから、上方に押し上げられて角質細胞になって剥がれ落ちるまでを、表皮の細胞周期と呼んでいます。
正常な場合は、このサイクルは28日とされ、さらに角質細胞の剥離は、細胞が非常に小さいために目で見ることができないのです。
つまり、正常な人のフケやアカは目には見えないものですが、実際には何十万という角質細胞が、頭皮だけでなく全身からフケやアカになって毎日剥がれ落ち
ているのです。
健康なフケは目には見えません。従って不潔でもなんでもないのです。
俗にフケといわれるものは頭皮の老化角片の脱落するもの(落屑)と分解酸化物との混合物で、私たちが生きでいる以上新陳代謝の産物として不思議はないも
のです。
ただこれが異常に多いのをフケ症と呼び、医学的には頭部批糠疹と名付けられています。
一般的に乾いたサラサラのフケを乾性フケ、粘っこい重いフケを脂性フケと呼んで、前者は角片が多く、後者は皮脂分の多いフケ、と考えられていますが、
これは誤りで、皮脂分解物が乾いて粉のようになる場合もあります。現実には皮脂が少いために頭皮が乾燥したり、頭皮の角質の異常増殖で角片が大部分のフ
ケもあり、
こうしたフケに対しては乾性脂漏という用語は適当と思われます。